9月2日(土)に、ギャラリートーク石川竜一×飯沢耕太郎を開催しました。
雑誌『写真』vol.4「テロワール/TERROIR」で巻頭を飾った石川竜一さんの掲載作や、新作「人間の殻」について、弊誌の統括アドバイザーを務める飯沢耕太郎さんが聞き手となってお話をお伺いしました。
雑誌『写真』の刊行記念に開催された個展「風土 人間の殻」では、テロワール(風土)誌面のために撮影、セレクトした写真は小さくプリントして額装され、一方で、今年から撮影し始めた新作は長辺1m以上の大判プリントで展示されました。
今年から取り組み始めた新作「人間の殻」は、主に高解像度カメラ「PHASE ONE」を使用して人間の細部に目を凝らして撮影されたシリーズです。
対面で人と会う時に視覚、聴覚、嗅覚、触覚を通じて感じられるものと、写真に写った人は写真でしかなくなります。本作は、写真に写したものと、写されたものの質の違いについて考えて制作しているそうです。
そのことについて、飯沢さんがアウグスト・ザンダーの言葉「見る、観察する、考える」を引き合いに出し、「見ることの絶対化」をしている、とおっしゃっていました。
話題は多岐に渡りましたが、特に写真集制作についてのお話が興味深かったです。
石川竜一さんの作家活動において、大きなウェイトを占める写真集の制作では、経過を編集者に見てもらいながらも、並び順は最終的にほぼ自分で決めるそうです。
そのセレクトのプロセスが面白く、例えば写真の点数を300〜500点→100点→10〜30点と、核となるところまで削ぎ落とし、また増やしていく、という作業を延々と続けるそうです。
何度もセレクトを繰り返して、ついに決着するときは、「これ以上写真の位置が動かなくなる時」だそうです。
そこまで徹底的に追い込む姿勢に、改めて感服しました。
デジタル化以降は、表現において画像と映像、音楽の境が無くなってきたと言う石川さんは、今は環境音をサンプリングして、サウンドを作ったり、映像を作ったりすることが楽しいそうです。
最新作『zk』では、沖縄という場所性からの解放を試みたり、時間の質量について考えたり、デジタルのバグを入れたりと、己が見る「絶景」を解体していった石川さんですが、
これからの表現分野をさらに横断するようなこれからのご活躍にも期待しております!
展覧会は本日で終了しますが、石川竜一さんの写真集はこれからもふげん社でお取り扱いいたします。
雑誌『写真』vol.4収録のインタビューも、ぜひ作品理解にお役立てください。
また、トークのアーカイブは、10月1日(日)までご視聴可能です。
ご興味のある方はふげん社オンラインストアからチケットをお求めください。
■雑誌『写真』vol.4「テロワール/TERROIR」
(ふげん社、2023)¥2,970
石川竜一 巻頭口絵カラー 33p
ロングインタビュー(聞き手:飯沢耕太郎) 9p
収録
■石川竜一写真集
・石川竜一『zk』(サイン入り)
(赤々舎、2022) ¥6,600
・石川竜一『いのちのうちがわ』(サイン、エディション入り、特典トートバック付き)
(赤々舎、2021) ¥14,300
・石川竜一『okinawan portraits 2012-2016』(サイン入り)
(赤々舎、2016) ¥5,500
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